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2022.08.03
新規参入はできる?うなぎ養殖の現状やメリット・デメリットを紹介
夏に食べたくなるうなぎですが、実は絶滅危惧種としてレッドリストに掲載されている生き物。
「数が減っているうなぎを養殖したら儲かるはず」と考える方も多いですが、道のりは険しいのが現状です。
本記事では、うなぎ養殖の現状や新規参入のメリット・デメリットを紹介します。
ぜひ、参考にしてください。
日本のうなぎ養殖の現状
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日本のうなぎ養殖の現状を紹介します。
日本のうなぎ養殖の歴史
日本のうなぎ養殖は古く、明治時代からスタートしました。
うなぎ養殖の主な歴史をまとめると次のとおり。
1879年 東京にて最初のうなぎ養殖を試みる
1973年 世界で初めてうなぎの人工ふ化に成功、国内の養鰻経営体が3,250軒と最多を記録
1989年 国内の生産量が39,704トンになり過去最多を記録
2000年 国産と輸入品をあわせたうなぎの供給量が16万トンで過去最多を記録
2002年 国内の養鰻経営対が500軒を割る
2003年 世界で初めてシラスウナギの人工生産に成功
2010年 世界で初めてうなぎの完全養殖に成功
2015年 うなぎの養殖が許可制になる
うなぎ養殖がはじまって150年近く経ちますが、いまだに試行錯誤が続けられています。
研究が進むうなぎの完全養殖
そもそも、完全養殖とは「人工ふ化させた仔魚を親魚まで育て、その親魚の卵から次の世代を人工ふ化させる」という技術。
現在のうなぎ養殖は、稚魚の「シラスウナギ」を捕獲し育てて出荷するのが基本で、完全養殖ではありません。
2010年に初めてうなぎの完全養殖に成功しましたが、現在でも研究が進められています。
それは、完全養殖が一般的になればうなぎ不足の解消につながるかもしれないから。
研究当初はうなぎの仔魚「レプトセファルス」の生態がなぞで、何を食べるのかすら分かりませんでした。
なんとか餌になるものを発見したものの、資源保護が求められるサメの卵を使うため量産できません。
2021年になると、手に入りやすい鶏の卵黄を原料とする餌が開発され「完全養殖の商業化へつながるのでは」と期待されています。
大きさと身の柔らかさを両立させる
大きさと身の柔らかさの両立をめざした研究も行われています。
従来の養殖ではほとんどのうなぎがオスになり、大きくなるまで育てると身が固くなってしまうのが問題でした。
そこで開発されたのがうなぎをメスにする「大豆イソフラボン」を混ぜた餌。
オスの2倍のサイズに育てても身が柔らかいメスのうなぎを育てられるようになりました。
この餌は2021年に特許を取得します。
うなぎ養殖に新規参入する方法・育て方・メリット
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うなぎ養殖に新規参入する方法やメリットは次のとおりです。
養殖の許可が必要
うなぎの養殖をはじめるには、農林水産大臣からの許可が必要です。
自然保護の観点からうなぎの生産量を管理・調整するのが目的。
許可を得るための届け出には期間が決まっているので注意してください。
また、この許可は1年ごとの更新制です。
うなぎ養殖の費用
うなぎ養殖の新規参入には、多額の費用がかかります。
養殖の手法や立地条件にもよりますが、池・ハウス・ほかの設備の準備に5,000万円も用意した方がいるそうです。
もちろん育てるためのシラスウナギを仕入れる必要もあります。
価格は変動しますが、たとえば2022年の静岡県ではシラスウナギ1キロあたり150万円と高値を記録。
ほかにも人件費・光熱費などのランニングコストも欠かせません。
養殖の期間
養殖の期間には、単年養殖と周年養殖とがあります。
半年ほど育てて販売するのが単年養殖で、周年養殖は1年以上育ててから出荷。
土用の丑の日に販売されるうなぎは、基本的に周年養殖のものです。
- 単年養殖…半年ほど育てて出荷
- 周年養殖…1年以上育てて出荷、土用の丑の日のうなぎは基本的にこちら
水温や餌など、育て方
屋外に池を掘りビニールハウスで覆って温度を保つ方法が多いです。
水温や餌といったうなぎの育て方のポイントは次のとおり。
- 水温を28℃前後に保ち、冬眠させない
- 餌をやり続け、痩せないようにする
- 水をキレイにし、病気を防ぐ
- うなぎ専用の餌と練り機を使う
本来うなぎは冬眠する生き物ですが、短期間でたくさんの餌を食べさせるために高い水温で育てます。
病気になると餌を与えられず痩せてしまうため、水の手入れは重要です。
最新の研究・機器を活かした養殖ができる
これからうなぎ養殖に参入するメリットは、最新の研究や機器を活かせることです。
今までの手法に最適化された機器や設備を、新しいものに替えるのは簡単ではありません。
しかし、これから準備をして参入するなら設備全体の設計から吟味できるなど自由度が高いです。
たとえば、廃材や水の再利用など環境にやさしい養殖もできます。
うなぎの養殖の問題点・デメリット
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うなぎの養殖についての問題点・デメリットは次のようなもの。
シラスウナギの量が足りない
まずは、シラスウナギの量が足りないのがネックになります。
現在のうなぎ養殖では獲ったシラスウナギを育てて販売するため、シラスウナギの漁獲量が少ないと出荷量も増やせません。
また長期的なシラスウナギの取引価格も右肩上がりに推移しています。
たとえば、2003年は1キロあたり16万円でしたが、2022年は1キロあたり220万円です。
完全養殖が普及すれば野生のシラスウナギを育てなくて済みますが、まだ商業化までの道のりがあります。
品種改良ができない
完全養殖が一般的でなく、品種改良できないのもデメリット。
なぜなら、商品としてのうなぎを魅力的にする方法が限られるからです。
たとえば、野菜や果物では次のような品種改良が長年行われてきました。
- 大きく育つ
- 病気に強い
- うまみが強い
- 見栄えがいい
しかし、完全養殖できないうなぎでは同じような試行錯誤ができず、育て方だけでコントロールするしかありません。
池入れ量を自分でコントロールできない
養殖業者ごとにシラスウナギの池入れ量が決められ、自分で自由にコントロールできません。
なので、利益を増やすために販売量も増やすなどの経営戦略がとりにくいです。
池入れ量を増やす申請はできますが、許可が降りるのはほかの養殖場の池入れ量が少なかった場合だけで簡単ではありません。
うなぎの養殖についてよくある質問
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うなぎの養殖についてよくある質問に答えます。
うなぎの養殖は儲かる?
養殖で安定して儲けるのは、簡単ではありません。
売上高の上限がほとんど決まってしまう仕組みでありながら、うなぎの稚魚や燃料費の高騰が続いているからです。
顧客の反発を考えるとうなぎ製品の値上げはむずかしく、2015年から稚魚の池入れ量も定められているため、これ以上の売上高は望みにくいもの。
そのため、さらに利益を確保するにはコストを削るしかありません。
しかし、最高値を記録した2018年より稚魚の平均取引価格は下がっているものの安いとは言い切れず、燃料費は年々高くなっています。
なので、うなぎの養殖で安定して儲けるのはむずかしいです。
養殖はむずかしいって本当?
うなぎの完全養殖の実用化はむずかしいです。
それは、低コストな養殖技術がまだないから。
従来の稚魚から育てる養殖のコストは1匹あたり数百円で、完全養殖だと1匹あたり約3,000円とかなり差があります。
なので、一般家庭で完全養殖のうなぎを食べるのはまだ先の話です。
また、従来からの養殖については技術的にはむずかしくありませんが、ビジネスとして成り立たせるには厳しくなってきています。
うなぎの養殖に許可はいる?
うなぎの養殖には許可が必要です。
2015年6月より農林水産大臣の許可を要する指定養殖業となりました。
ビカーラ種などニホンウナギではないうなぎの養殖も対象です。
無許可で養殖すると、3年以下の懲役または200万円以下の罰金の対象となります。
また、養鰻場ごとに農林水産大臣から直接許可する仕組みで、第三者からの許可は存在しません。
行政以外からの許可を謳った詐欺などに注意してください。
うなぎの養殖まとめ
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本記事では、うなぎの養殖について紹介しました。
うなぎの養殖に許可がいるようになり、新規参入にはハードルがあります。
しかし、これからはじめると最新の機器、環境にやさしい手法などを採用しやすいのもメリットです。
興味がある方は、挑戦してみてください。