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2022.07.28
土用の丑の日はいつ?うなぎを食べる由来も解説
毎年夏が近づくと「うなぎを食べるなら、土用の丑の日」と耳にします。
ですが、土用も丑の日もあまり馴染みがない言葉ではないでしょうか。
実は古い暦(こよみ)に関係する言葉です。
本記事では、季節ごとの土用の丑の日がいつなのか、うなぎを食べる由来も交えて紹介します。
土用の丑の日はいつ?期間も紹介
土用の丑の日は、日付が決まっておらず季節ごとにあります。
春夏秋冬の土用の丑の日がいつなのか、期間もあわせて紹介します。
春の土用の丑の日
立夏の前の18日間のなかで丑の日にあたるのが、春の土用の丑の日。
例えば、立夏が5月5日だと春の土用の期間は、4月17日〜5月4日となります。
もし4月17日を子の日とすると4月18日・30日が丑の日で、春の土用の丑の日は4月18日・30日です。
このように土用の期間に丑の日が2度くる年もあり、最初の丑の日を「一の丑」・次の丑の日を「二の丑」と呼びます。
夏の土用の丑の日
夏の土用の丑の日は、立秋前の18日間のなかの丑の日のこと。
仮に、立秋を8月7日とすると夏の土用は7月20日〜8月6日です。
7月20日が戌の日だと、この夏の土用のなかで丑の日なのは7月23日と8月4日です。
つまり、この場合だと7月23日と8月4日が夏の土用の丑の日に該当します。
また「夏の土用の丑の日」のことを単に土用の丑の日ということが多いです。
秋の土用の丑の日
立冬前の18日間が秋の土用で、この期間に含まれる丑の日が、秋の土用の丑の日。
11月7日を立冬とすると、10月20日〜11月6日が秋の土用です。
10月20日が午の日のケースだと、丑の日は10月27日。
そのため、10月27日が秋の土用の丑の日になります。
寒の土用の丑の日
冬の土用の丑の日は「寒の土用の丑の日」ともいいます。
立春前の18日間が冬の土用で、冬の土用に含まれる丑の日が、寒の土用の丑の日です。
立春が2月4日だと冬の土用は1月17日〜2月3日で、1月17日が午の日の場合は1月24日が丑の日。
つまり、寒の土用の丑の日は1月24日になります。
ちなみに「寒の土用の丑の日」の名称は、うなぎの収穫・消費量の多い長野県岡谷市の「うなぎのまち岡谷の会」が1998年に制定したものです。
土用の丑の日にはどのような意味がある?
土用の丑の日の意味や風習を紹介します。
五行説からきた土用
土用は雑説のひとつで、古代中国の「五行説」から来てます。
もともと中国の中原の気候にあわせて考案された二十四節気は、日本で使うには名称と季節感がズレてしまう問題がありました。
たとえば、梅雨の最中に夏至がくる、暑さのピークが立秋あたりなど。
その二十四節気を補助するために、日本独自に考えられた暦が雑説です。
土用の由来となる「五行説」は「万物は火・水・木・金・土の5種類の元素からなる」という考えです。
季節を五行説で表すと次のとおり。
- 春…木
- 夏…火
- 秋…金
- 冬…水
- 季節の間…土
季節のはじまりである立春・立夏・立秋・立冬の直前18日間を土用としました。
丑の日とは?干支で日付もあらわせる
丑の日の「丑」とは、12ある干支の中の「丑(うし)」のこと。
年が変わると「今年は子(ねずみ)年」というのと同じで、十二支で日付もあらわせます。
干支の順番は次のとおり。
- 子(ね)
- 丑(うし)
- 寅(とら)
- 卯(う)
- 辰(たつ)
- 巳(み)
- 午(うま)
- 未(ひつじ)
- 申(さる)
- 酉(とり)
- 戌(いぬ)
- 亥(い)
たとえば、1日が子の日とすると2日は丑の日、3日は寅の日とあわらし、13日は再び子の日に戻ります。
夏の土用の丑の日にうなぎを食べるのはなぜ?
夏の土用の丑の日に「うなぎを食べるといい」とされる風習の起源は明確ではありません。
ですが、江戸時代に蘭学者・発明家の平賀源内がうなぎ屋にアドバイスして広まったという説があります。
夏のうなぎが売れずに困っていたうなぎ屋が相談したところ「本日、土用の丑の日」と書いた紙を貼るように平賀源内が助言し、これがヒットしたそうです。
もともと丑の日には「う」のつくものを食べると健康にいいとされ、うなぎの名前とその豊富な栄養がぴったりだったのでしょう。
また、奈良時代の万葉集でも夏やせ防止にうなぎを勧める歌があり、うなぎを夏に食べるといいという認識はあったようです。
夏の疲れを癒す「丑湯」
「丑湯(うしゆ・うゆ)」とは、夏の土用の丑の日に薬草をいれた湯船で入浴することです。
体調を整え夏バテしなくなるといわれます。
昔からドクダミ・ヨモギ・桃の葉などいろいろな薬草が使われてきました。
ドライハーブが簡単に手に入る現代なら、次のものを試してみてください。
- 緊張をほぐすジャーマンカモミール
- 爽快感のあるペパーミント
- 優雅な香りのローズ
- 清涼感たっぷりのユーカリ
ハーブをそのまま湯船に入れると後始末が大変なので、お茶パックやガーゼで包むのがおすすめ。
夏は、暑いからとシャワーで済ませがちですが、丑湯にゆったり浸かると疲れが取れます。
カビ・虫対策に「虫干し」
カビ・虫対策として服・本・調度品・絵画などを風にとおすのが「虫干し」。
もともとは中国の「曝涼(ばくりょう)」にならったもので、ものを長持ちさせる知恵です。
夏・秋・冬それぞれの土用におこなうのがいいとされ、目的は次のとおり。
- 夏の土用の虫干し…梅雨にたまった湿気を取り除く「土用干し」ともいう
- 秋の土用の虫干し…爽やかな風で夏についた虫をとる
- 冬の土用の虫干し…乾燥した風をとおして来年にそなえる「寒干し」ともいう
湿気は劣化にもつながるので、夏の虫干しはとくに大切です。
現代では虫干しをかねて、本樽や宝物などを公開する寺社も増えています。
土用にしないほうがいいこと
土用の期間中には、土を動かすこと・新しいこと・場所を移動することは避けたほうがいいとされています。
これは、陰陽道における土を司る神「土公神」が土用を支配するとされるからです。
やめたほうがいいのは次のようなこと。
- 庭仕事
- 家を建てる
- 結婚
- 開業
- 転居
- 旅行
現代では気にしないことも多いですが、昔は縁起を担いで避けていたそうです。
季節の変わり目は体調を崩しやすいと考えると納得ですね。
また、土用の中でも土公神が土を離れる間日(まび・かんじつ)という日があり、その日は土を動かすなどしても大丈夫です。
間日をまとめると次のようになります。
- 春の土用:巳の日、丑の日、酉の日
- 夏の土用:卯の日、辰の日、申の日
- 秋の土用:未の日、酉の日、亥の日
- 冬の土用:寅の日、卯の日、巳の日
土用の食べ物、それぞれの由来
季節の変わり目の土用は、身体が疲れやすいです。
健康を保つために土用に食べるといいとされる物をまとめました。
春の食べ物
春の土用では、戌の日に白いもの・名前が「い」からはじまるものを食べます。
- いわし
- イチゴ
- インゲン豆
- 芋
- いか
気温だけでなく生活環境も大きく変わりがちな春は、ストレスを抱える方が多いです。
春の食べ物で身体を元気にしましょう。
夏の食べ物
夏の土用の丑の日に食べるといいのは、うなぎだけではありません。
名前が「う」ではじまるもの・黒いものも食べましょう。
- うなぎ
- 梅干し
- 瓜
- うどん
- 黒豆
また、土用の名前が入った土用卵・土用しじみ・土用もちなどもこの季節の食べ物で、身体によいとされています。
秋の食べ物
青いもの・名前が「た」ではじまるものを、秋の土用の辰の日に食べます。
- さんま(青魚)
- タコ
- 大根
- たけのこ
- 玉ねぎ
たまった夏の疲れが出やすく、寒い冬に向けて体力蓄えたい時期です。
旬で栄養たっぷりのさんまを大根おろしで食べるなどがおすすめ。
冬の食べ物
冬の土用の未の日には、赤いもの・名前が「ひ」からはじまるものを食べるのがおすすめ。
- ひらめ
- ひじき
- トマト
- ひよこ豆
- りんご
寒くなり風邪やインフルエンザが流行るので、体調管理に気をつけたいもの。
ビタミンをしっかり摂って寒さに負けないようにしましょう。
土用の丑の日まとめ
諸説ありますが、夏の土用の丑の日にうなぎを食べるのは、うなぎ屋への平賀源内のアドバイスが起源といわれます。
本記事で紹介した土用の期間は次のとおり。
春の土用…立夏前の18日間
夏の土用…立秋前の18日間
秋の土用…立冬前の18日間
寒(冬)の土用…立春前の18日間
それぞれの季節を感じながら、土用の食べ物で身体をリフレッシュさせてください。